2022年4月1日から、住宅の省エネ性能表示に上位等級が創設されました・・・と言われても、「興味なし」と聞き流してしまう人も多いかも知れませんね。
これまで、断熱等級は「等級4」が最上位でしたが、さらにその上の等級が創設された、というようなお話ですが、実はこれ、「住宅ローン」の【フラット35】の「お知らせ」にもすでに登場しています・・・住宅ローンと省エネ性能、これ、気になりませんか?
そして、もうひとつ。
2025年には、いわゆる「住宅の省エネ」に「最低必要な基準」が法的に設けられて、それ以下の住宅は建てられなくなります。
と言うことは、今まで建てられた住宅も、その「基準」を満たしていなければ、いわば「法的にアウトな状態」の住宅になってしまう、ということになりますね・・・最近住宅を購入、あるいは新築された方、それまでの打合せの中で、こうした話題出ましたか?
実は、これらの話題はすでに昨年あたりから、業界ではかなりざわついていて、大手などの住宅会社では、これを商機にと準備しています。
目次
いよいよ【フラット35】にも登場:「ZEH」、「上位等級」、そして「最低基準強化」
でも、いきなり「省エネ基準の改定」などの話をされても、正直、取っ付きにくいですよね。
まして、「温室効果ガス排出量削減」云々から始める省エネのお話では、きっと「興味なし」のままでスルーしてしまうことでしょう。
まずは、【フラット35】の「お知らせ」から
住宅ローンを検討する人が、よく見聞きする【フラット35】。
住宅金融支援機構による【フラット35】のホームページに、最近「2022年度4月以降の制度変更事項のお知らせ」というトピックスが公開されています。(2022年2月18日公開、3月23日更新)
住宅ローンなので、皆様関心が高いのは「借入金利」でしょうけれど、その前提となる技術基準について、今回の「お知らせ」には、省エネルギー性能の強化に関連した内容も多いです。
専門的なことはひとまずおいて、ここでは【フラット35】の「住宅ローンと省エネ性能」に関わる、次の3点を取り上げてみましょう。
①最近良く聞く「ZEH(ゼッチ:Net Zero Energy Houseの略)」って何?
②「省エネ上位等級(断熱等級5かつ一次エネ等級6)」なんて初耳だけれど、ローンに関係あるの?
③「省エネ基準の法的義務化」って、つまり省エネしない住宅は建築許可されないってこと?
①それではまず、ZEH(ゼッチ:Net Zero Energy House)の基礎知識から
【フラット35】の中でも、融資条件の良い【フラット35】S(←Sが付きます)は、2022年10月から、【フラット35】S(ZEH)が新設されます。
さてここで、昨今耳にするZEH(ゼッチ:Net Zero Energy House)という言葉ですが、
(1)(高断熱)断熱性能が高く、エネルギーを極力必要としない(「強化外皮基準」を満たす)
(2)(省エネ)高効率な設備で、エネルギーを上手に使う(「基準消費量」からさらに削減)
(3)(創エネ)自分でエネルギーを創り、必要分をまかなう(再生可能エネルギー)
その結果、年間のエネルギー消費量を差し引きゼロにできる(ネット・ゼロ・エネルギー)住宅のことです。
もっと平たく言うと、エネルギーを(計算上)自給自足できる住宅ですね。
そして、この(1)~(3)が、先ほどの表の【フラット35】S(ZEH)の要求基準に対応しています。
(1)高断熱 → 強化外皮基準【断熱等性能等級5】
(2)省エネ → 一次エネルギー消費量(基準値からの削減量)▲20%以上
(3)創エネ → 再生可能エネルギーによる一次エネルギー削減 ▲100%(自給自足ですね)
こうしたネット・ゼロ・エネルギー住宅であれば、ローンをさらに優遇しますよ、という制度です。
②次に、省エネ上位等級(断熱等級5かつ一次エネ等級6)について
これまでも、【フラット35】S(←Sが付きます)には、①省エネルギー性、②耐震性、③バリアフリー性、④耐久性・可変性、の4つからひとつ以上性能基準を満たす必要がありました。
このうち①省エネルギー性について、今後基準が強化されることになります。たとえば、戸建て・新築住宅について。(朱色のところが今回改訂の部分)
これまでの「新築住宅の金利Aプラン」は、ここは「一次エネルギー消費量等級5」だけの要求でした。
今後(2022年10月以降)は、「断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6」の両方を要求されることになります。
この「断熱等性能等級5」と「一次エネルギー消費量等級6」は、2022年4月に住宅性能表示基準の改正として新設された上位等級で、次の章で説明いたします。
③そして、省エネ基準の法的義務化(2025年)を見越した省エネ技術基準の強化について
ここまでは、【フラット35】S(←Sが付きます)についての基準強化のお話でしたが、翌2023年4月からは、「S」に限らず、【フラット35】のすべて(←ここ大切です)について省エネの基準が強化されます。
これまで【フラット35】はすべて「断熱等性能等級2以上」のみの要求でしたが、2023年からは、「断熱等性能等級4以上、かつ一次エネルギー消費量等級4以上」と、いきなりの2ランクアップの基準強化です。
「断熱等性能等級4」とは、これまでは最高等級でした。それが今後は、いわば必要最低限の義務の等級になろうとしています。
それは、この見直し後の基準が「2025年度に義務化される予定の省エネ基準と同じもの」という注記の「義務化」ということばからもわかりますね。
ついに登場!省エネ上位等級 ~「断熱等級5」と「一次エネ等級6」
ここまでは、【フラット35】の制度変更の「お知らせ」記事を引用して、今後省エネ性能の基準が強化されることになるのを見てきました。
この制度変更は、次に見る住宅性能表示基準の改正と関連しています。
住宅性能表示基準の改正 ~ 断熱等性能等級5、一次エネルギー消費量等級6の新設
国土交通省と消費者庁は2021年12月1日、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく住宅性能表示制度について、表示基準の一部改正を官報に告示しました。(改正基準の施行は2022年4月1日)
改正の内容は、断熱等性能等級5と、一次エネルギー消費量等級6の新設です。
新設された「断熱等性能等級5」とは
住宅の外皮(屋根、壁、床などの断熱の面)の断熱性能というのは、省エネ関係の法律の中では、
(1)熱の逃げやすさをあらわす「外皮平均熱貫流率(UA値)」
(2)夏場の日射の入りやすさをあらわす「冷房期の平均日射取得率(ηAC値)」
のふたつについて、それぞれ地域区分(たとえば、東京などは「6地域」)ごとに基準値を定めて、等級を決めています。(下の表のタテとヨコです)
その等級が「断熱等性能等級」ですが、これまでは「等級1~4」まででした。今回、その上にさらに「等級5」が新設されたというわけです。
それを表にすると、次のようになります。
この(1)外皮平均熱貫流率(UA値)と(2)冷房期の平均日射取得率(ηAC値)は、次のようなイメージです。
新設された「一次エネルギー消費量等級6」とは
住宅がどのくらいのエネルギーを消費するかを、その住宅で使われる設備機器の種類や性能にもとづいて算出し、その結果(設計一次エネルギー消費量)を基準となる消費量(基準一次エネルギー消費量)と比較します。式で表わすと、
設計一次エネルギー消費量 = 暖冷房設備+換気設備+給湯設備+照明設備+家電など-太陽光発電など
となりますが、下のイメージ図の設備で使われるエネルギーを合計したもの、くらいに考えてください。
この算出数値の基準値に対する割合を一次エネルギー消費性能(BEI)と呼びます。
表のように、「等級4」がBEI=1.0で、これまでの最高等級5はBEI=0.9でした。
今回、その上位等級としてBEI=0.8となる「等級6」が新設されます、というお話です。
長期優良住宅認定基準の「省エネルギー性」も改正予定
長期優良住宅の認定基準では、長期使用構造等として、①劣化対策、②耐震性、③維持管理・更新、④省エネルギー性、の4つの要求があります。
このうち、④省エネルギー性については、これまでは、やはり断熱等性能等級4が求められていました。
今回これを、断熱等性能等級5と一次エネルギー消費量等級6に設定されることとなりました。
なお、長期優良住宅に関連しては、これまで、次のようなコラムを書きました。こちらも、いよいよ省エネのところは「読み替え」が必要になりますね。
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ところが、さらにZEH水準を上回る等級まで登場
さて、今回新設された等級(断熱等級5、一次エネ等級6)は、いわゆるZEH水準を意図したものですが、この新設等級はいわば「通過点」に過ぎません。
住宅の熱損失をさらに大きく減らす対策が講じられることを念頭に、ZEH水準を上回る等級として、断熱等性能等級6、等級7が設定され、2022年10月に施行が予定されています。
この等級6、等級7については、暖冷房にかかる一次エネルギー消費量の削減率を、概ね30%、40%削減を目安として設定されています。
このように、これからの住宅の省エネ基準は、ZEH水準(断熱等性能については等級5)がむしろ標準になり、さらにこうした等級6、等級7を目指すものとなるでしょう。
そして後述するように、これまでの最高等級である断熱等性能等級4は、当面の必要最低限の等級となることでしょう。
知っておきたいのは、それくらい住宅の断熱化、省エネ化というのは、最低レベルが切り上げられてゆくことになるという点です。
政府は、2030年までに新築住宅の省エネ水準をZEHレベルに引き上げることを目指しています。
これまで、日本の住宅の省エネ性能は、先進国の中では最低水準でした。このことは住宅業界の中では常識なのに、一般の消費者にはあまり知られていませんでした。
それでは具体的に、断熱等性能等級5の住宅をイメージしてみると
ここまで、「はじめて聞く」という方にはちょっとハード過ぎる内容だったかもしれません。
断熱性能の「等級」とか「外皮平均熱貫流率(UA値)」などのように数字を並べられても、ちょっとピンときませんね。
ではここから、少し具体的な例にも触れてみましょう。
断熱等性能等級4、等級5、等級6では、具体的にはどのくらい違うのか?
たとえば、等級4,5,6は順に、これまでの最高等級(今後の最低基準)、ZEB水準、ZEB基準超ですが、それぞれについうて、断熱材でどのくらい違うのかというふうに具体的に見て見ましょう。
実際は、個々の住宅の姿と仕様ごとに計算してUA値を求めて、それが基準以内かどうかを見る必要があるのですが、ここでは一般的な傾向を知ることが目的ですので、国土交通省の資料の一部を引用してみましょう。
この表の中で、たとえば外壁の断熱材について見ると、等級4(いわばこれからの最低基準)では、グラスウール85㎜必要のものが、等級5(ZEB水準)では105㎜必要で、さらに等級6(ZEB基準超)では、105㎜の外側に25㎜のポリスチレンフォームを貼る必要がある、と示されています。
この例では、断熱材として高性能グラスウール16Kを使う場合、105㎜角の柱の場合、等級4,5までは柱どうしの間にグラスウールが納まる「充填断熱」工法が可能ですが、等級6となると、その外側にさらに断熱材を貼る「付加断熱」工法とする必要があることを示しています。
また、窓サッシについては、この例では、等級4,5ともアルミ樹脂複合サッシとなっていますが、国交省の別の資料では、等級4はアルミサッシ、等級5でアルミ樹脂複合サッシを例示しているものもあります。さらに等級6では断熱性能の高い樹脂サッシとなっています。
窓ガラスについては、いずれも複層ガラス(ペアガラス)ですが、ガラスの種類(透明複層ガラス、Low-E複層ガラス)とガラスの間に封入されるガス(空気、アルゴンガス)の種類と厚み(9,10,12㎜)が異なっています。
等級4の現実と真実
これまで断熱性能は等級4が最高等級で、しかもこの等級は「次世代省エネ基準」などと呼ばれてきました。しかし、この基準が定められたのは1999(平成11)年で、20年以上も前のことです。そして、つい先頃まで、住宅会社各社の宣伝には「最高等級の断熱」などと堂々と書かれてきました。
そして、20年以上も前のこの基準は、あくまで推奨という扱いであり、適合義務があったわけでもないので、今でも等級4さえ満たさない住宅が建てられているといのが実情です。実際、等級4の断熱性能がある住宅は、日本の住宅ストック全体の1割程度に過ぎないと言われています。
業界では常識なのですが、日本の住宅の断熱性能は、諸外国に比べてかなり低いレベルに止まっています。海外では多くの国で、住宅の断熱基準は義務化され、逐次レベルアップを図ってきています。
ここへきて、ようやく断熱にはまだまだ上位の等級があることが示され、断熱性能を含む省エネ基準への適合が法的に義務化されることとなりました。
そして、「義務化」でどうなる、住宅の「価値」
このように、住宅の断熱性能は、これまでは最高等級4で、これは1999(平成11)年につくられた基準でした。
さらにさかのぼると、我が国では、1980年に初めての断熱基準が作られました。これは今の基準の断熱等級2でした。
確かに周回遅れ・・・住宅の「適合義務化」までの流れ
2015(平成27)年に「建築物省エネ法」ができ、最初は大規模建築物(延べ2,000㎡以上)について省エネ基準への法的な適合義務が求められました。
住宅については、マンションなどの中規模(300㎡)以上のものは届出義務とされましたが、戸建て住宅は「義務なし」でした。
適合義務とは、つまりその基準に満たない場合建築許可がおりないという意味です。
2021(令和3)年に法改正があり、戸建て住宅については建築士による「建築主への説明義務」が必須となりました。
この制度は、省エネ基準への適合は努力義務に過ぎず、また建売(分譲)住宅では住宅の購入者は説明義務の対象ではありませんでした。しかも、建築主が説明を希望しなければ、説明を省略できます。そもそも省エネ基準というものは、専門技術的な内容なので、それを一般の人がじゅうぶん理解できるように説明できるのだろうかという問題もあります。
こうした流れの中で、ようやく2015年に戸建て住宅や小規模建築物についても適合義務が求められることとなりました。
転換期を迎える住宅の断熱性能~「義務化」後の住宅の「価値」
流れの背景にあるのは、日本で2020年ころから重視されるようになった「脱炭素化」の政策が、国の住宅政策にも方向転換を迫ったことにあります。
今回、住宅性能表示に断熱等級5が新設され、2025年までには最低基準として断熱等級4が求められることとなりました。同時に、さらなる上位等級として、断熱等級6、7まで設定されました。
20年以上等級4を最高として、そこから上に動かなかったことから考えると、大きな転換ですが、これをどう捉えるべきでしょうか。
2025年に向けて民間各社は、等級4レベルの仕様を各社標準仕様として用意することでしょう。そして、ひとつ上の仕様として等級5レベルをZEH仕様として用意するでしょう。
一方、国は等級5を当面の誘導基準として2030年までに義務化するとも言われています。そして、エネルギーを計算上自給自足できるZEHの普及を支援してゆくものと思われます。
そして、ハードルはやや高いものの等級6レベルの住宅であれば、等級4の住宅の間欠暖房のエネルギーコストで、全館暖房がまかなえるようになり、ヒートショックなどの健康面での問題の解消に効果があります。(東京大学大学院准教授・前真之先生のお話から)
このように、これから住宅を新築、購入しようとする人は、たとえば先述の【フラット35】Sなどを検討される場合はもちろんですが、それ以外の場合でも、住宅の断熱性能については慎重になっていただきたいと思います。特に「等級4は最低基準、等級5は誘導基準」となることだけは、しっかり確認しておきましょう。
断熱性能を高める場合に見落としがちなポイント、そして住宅診断(インスペクション)にできること
今回は技術的、法的な話題が主でしたが、最後に具体的なお話をいくつかしておきたいと思います。
断熱性能を高めるには、開口部(窓)に注目
断熱というと断熱材の種類や厚みに関心が行きますが、住宅の「外皮」の中で、いちばん熱の流失や侵入が大きいのは開口部(外部の窓や扉)です。
図は、住宅全体のなかで部位ごとに、夏場の熱の侵入割合、冬場の熱の流出割合を試算した例ですが、この例では、夏場の熱の7割以上、冬場の熱の6割近くが開口部からであることを示しています。(条件によってこの割合は変動します)
このように、住宅の断熱性能を高めるためには、開口部に注目することが有効です。こうして見ると、かつて日本の住宅の多くは単層ガラスが普通でした。この時期の住宅が「無暖房」であったと言われるのもうなずけますね。
先ほど、等級4から5、そして6になるにしたがって、窓サッシュとガラスの仕様が断熱性能の高いものになって行くのを見ましたが、これは重要なポイントです。
ちなみに、断熱等級7の開口部(窓サッシュ)のイメージを、先ほど引用した国交省の資料で見てみましょう。東京など比較的温暖な「6地域」でも、サッシは樹脂製サッシ、そして三重ガラスです。
上位等級になるほど、外壁の断熱材は厚くなりますが、それと同時に開口部の窓サッシとガラスの断熱性能も高くなるわけですね。
どんなに断熱材を厚くしても、漏れてはダメ!
断熱性能を満たすためには、住宅全体を断熱材で包み込みます。外壁や床、天井(屋根)に断熱材が使われるわけですが、これらをまとめて「外皮」と呼びます。
外皮となる断熱材には、グラスウールのほか、現場発泡ウレタン、フェノールフオーム(商品名ネオマフォームなど)、押出法発泡スチレンフォーム(商品名スタイロフォームなど)、セルロースファイバーなどをはじめいろいろな種類があり、住宅各社それぞれの選定理由で使っています。
最も多く使われているのはグラスウールで、コストパフォーマンスが良いので選ばれるのでしょうが、しっかり施工されていれば性能面でも期待できます。
問題は、その「施工」のところです。等級に応じた材の厚みは、製品の厚みで担保されますが、大切なのは「断熱欠損」が生じないように施工管理できているかという点です。
外壁の内側がボードで覆われれば、断熱材は見えなくなります。天井もボードが貼られれば、点検口から見える範囲以外は見えないでしょう。壁のコンセントまわりや、天井断熱材間の隙間など、隠蔽される前に是正する必要があります。
断熱端部の隙間や間仕切壁上の気流止めなど空気の漏れの原因になる箇所についても、未施工箇所の是正が必要です。
ところで、断熱の上位等級が創設されて断熱性能が強調されるようになりつつある一方で、気密性能にはついてはそれほど議論されていません。
「断熱」は熱の出入りを防ぎ、「気密」は空気の出入りを防ぐ、という意味があります。
たとえば冬場、天井の隙間から暖気が漏出して、床下の冷気が床や壁の隙間から室内に入り込むことになれば、熱のロスとなってしまいます。気密性能が重要なゆえんです。
実は、今回新設される断熱等級5,6,7には、気密の規定はありません。気密の程度がどのくらい達成されたかは、現場で測定してはじめて分かることであり、しかも、気密を一定レベル以上に上げるには施工ノウハウの蓄積が必要であることから、気密についての規定を設けることには慎重なのかもしれません。
しかし、熱のロスを防ぎ、冬場足元の冷えを感じることなく、暖かさを実感できて快適に過ごせるようになるためには、断熱性能と同時に気密性も満たす必要があります。
気密の規定がないことから気密の話題を避けてしまうのでなく、むしろ「気密測定」の実施に積極的、あるいは協力的な住宅会社こそ、これからの住宅の性能に関心の高い会社と言えるのではないでしょうか。
いちばん切実な問題、そして、住宅診断(インスペクション)ができること
新たな基準は整備され、そして法改正も行われる・・・が、しかし。
住宅の購入者にとっていちばん切実な問題は、その住宅が新たな基準を満たす仕様の材料を使っているとしても、これまで見たような・・・
「ちゃんと出来ているのだろうか?特に、断熱のような『見えないところ』については。」
と、いうことではないでしょうか。つまり、施工の信頼性の問題ですね。
本来は、工事管理、工事監理の担当者が、施工の各段階でチェックすること、特に、断熱のような隠蔽部は、隙間はないか、充填は完全か、といった現場検査が命です。
この点がおろそかにされていれば、基準を強化しても期待通りの性能は出ませんね。
・・・誰がチェックをするの?
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