私たちN研(中尾建築研究室)のこのサイトでは、たびたび「見えないところ」というフレーズが登場します。
・・・が、このフレーズを取り上げるときは、必ず注釈を付けます。「お客様にとって『見えないところ』です」と。
もちろん、すでに出来てしまっている床・壁・天井の裏側を、非破壊で(壊さないで)見ることは、ほとんど無理なことです。
しかし、私たちは、小屋裏(屋根裏)にあがったり、床下に潜ったり、点検口から天井裏を覗いたり、あるいは、床を打音したりして、直接・間接に診察します・・・私たちは、それを「『見えないところ』を診る」と呼んでいます。
この「ほんとうは覗くことができるけれど、ほとんどの人が覗かない、あるいは気付かない」という、言わば「みなし隠蔽部」に、そっと隠れて、その住宅の「質」的な差があったりします。
目次
灼熱寸前・・・の小屋裏(屋根裏)に入って考えたこと
それは、豪雨翌々日の内覧会
内覧会前々日に、危険なほどの豪雨・・・しかし、この時ばかりはちょっと幸いだったかも知れません。
この夏の異常な暑さは、住宅の小屋裏(屋根裏)を灼熱地獄にしていましたから。
内覧会の対応をお願いできますか?可能な場合は、見積をお願いいたします。天井裏進入調査および床下進入調査もお願いしたいです。よろしくお願いします。(N研ホームページ「お問い合せ、お申込み」経由のメールから、太字化強調はN研)
これは、Y様から八月はじめにいただいた、お問い合わせでした。
すでに酷暑が始まっていたので、念のため・・・
小屋裏(屋根裏)進入調査については、その時の屋根裏の温度によっては、ご相談させてください。(N研からの返信メール、一部)
まずは、このようにお返事を差し上げましたが、この時点では図面も拝見していませんから、「念のため」でした。
屋根裏の断熱方法の違い(おさらい)
と、言うのは、屋根裏が「灼熱地獄」になるか・ならないかは、屋根裏の断熱方法のちがいにもよるからです。
それは、大きく「天井断熱」と「屋根断熱」に分けられますが、これを屋根裏の位置から見ると、図のように、屋根裏が断熱材の外側になるか、内側になるかの違いになります。
住宅が、左側のような「天井断熱」の場合は、屋根面と屋根裏のあいだが断熱されていないので、夏場の暑い時期は屋根裏が灼熱状態になる、というわけです。
一方、右側のような「屋根断熱」の場合は、屋根裏も室内側といっしょに、屋根面で断熱されるので、一般には屋根断熱の場合ほどは灼熱になりにくい、というわけです。(でも、真夏のロフトがそれなりに暑いように、屋根裏はその程度は暑いです。)
「天井断熱」と「屋根断熱」について、もう少し詳しくは、こちらをご覧ください。
点検口から屋根裏に入る
さてそれで、このお宅の場合は、一般的な天井断熱でした。
実際は事前に図面を拝見できたので、屋根裏の断熱方法や、天井点検口の場所、屋根裏のおおよそのスペース(身体を入れることが出来そうかどうか)を想定しておくことができました。
直前に豪雨の日があったため、多少は屋根の温度も下がった様子でしたが、それでもやはり屋根裏は灼熱状態でした。豪雨の前だったら、危険な状況だったことでしょう。
灼熱の中、思ったこと
この灼熱手前の屋根裏で思ったことは、まず、とりもなおさず、
真夏の屋根裏に入るのは要注意
・・・でした。
小屋裏(屋根裏)の梁材の上を進むと、足下にはグラスウール、頭上には垂木と野地板、行く手を阻む束材と斜材(雲筋交い、小屋筋交い)・・・いつもの「小屋裏の風景」です。
もしこれが屋根断熱の住宅なら、風景は一変、頭上は吹付断熱で覆われていたことでしょう。
天井断熱のグラスウール、屋根断熱では吹付断熱
・・・このあたりがいちばん多く見かける断熱材です。
後ろを向くと、先ほど入ってきた天井点検口から2階の明かり。
屋根裏への入り方には、点検口の設置位置の違いで、こうした垂直の進入のほか水平方向に入る場合もあります(後述)。断熱を途切れさせない点がポイント。
この日は、いわゆる「空調服」を着て屋根裏に入ったのですが、屋根裏の暑い空気を服の内側に送るだけの効果しかありません。
汗ばむ身体で、頭をよぎったのは・・・
小屋裏(屋根裏)換気、そして、屋根通気
さらに、こうした新築の場合に比べて、既存(中古)の場合は、屋根裏の断熱の様子や、木部の様子は、がらりと感じが変わること。
屋根裏の断熱材のこと ~ ネットにあふれる「断熱材比較」、材料性能だけでなく施工の良否がポイント
読み手を惑わす「比較」記事の氾濫
住宅用の断熱材をネットで検索すると、多くの種類の断熱材が登場します。
そこにはたいてい「性能」や「コスト」が並べられていて、次にそれぞれの「メリット・デメリット」が書かれていたりします。一覧表になっていて、比較項目ごとに◎、○、△が付いているものあります。
注意したいのは、特定の材料や商品に誘導・宣伝する意図のある記事で、そうなると、どうしても得失評価には偏りが出てしまいますね。
グラスウールと吹付ウレタンの比較
ところで、いちばん良くある「比較」となると、「グラスウールと吹付ウレタン、どちらを選ぶべき?」といったものですね。
今回のこのコラムのテーマからすると、天井断熱では「グラスウール」、そして屋根断熱では「吹付ウレタンフォーム」といったところですね。
国内の住宅の8割はグラスウールと言われたくらい、グラスウールはポピュラーな断熱材で、比較的低コストです。
そこに、複雑な箇所でも隙間なく施工でき、気密性も期待できそうな吹付ウレタンフォームが台頭してきた、という状況です。
「材料比較」はネット記事にお任せして、この両者、よく使われている種類のものでは、実は素材そのものの「断熱性能」では、それほどの差異はありません。
むしろ大切なことは、現場に搬入されたそれらの材料を、どれだけ注意して正しく施工しているか、という点です。
天井断熱のグラスウールは、マット状の断熱材を天井裏に敷き詰めます。
また、屋根断熱の吹付断熱は、現場で直接硬質ウレタンフォームを吹付けます。
どちらも、材料が隙間なく施工されることで高い断熱性能が実現されるので、現場での確実な施工とチェック体制が大前提となります。
天井断熱のグラスウール
たとえば、グラスウールを天井に使う場合、メーカーの施工マニュアルには「野縁の上に(グラスウール)断熱材を隙間なく敷き詰める」と、さらっと書いてありますが、これが確実に行われているかどうか、ということです。
また、間仕切壁と天井断熱の取合い部分には「気流止め」を設けること。これは、今や現場でも常識となりつつありますが、壁の内側から天井内の「見えないところ」で、確実に空気の流れを止めるようにしっかり施工されているか、ということも断熱性能の確保や壁体内の結露防止に直接関わってきます。
気流止めについては、こちらをご覧ください。
さらに、野縁の下の室内側に防湿シートを別貼りすることが原則です。
しかし、計算結果(透湿抵抗比)により省略できるという規定があるため、省略している例も多いですが、施工会社によっては設置を原則としているところもあります。
これもまた、「見えないところ」に対する姿勢と言えるかも知れません。
屋根断熱の吹付ウレタン
一方、吹付ウレタンフォームですが、これは基本的には専門の業者が施工することとなっているので、一定の施工レベルは期待できるとは言えます。
しかし、吹付けた原液が100倍(あるいは30倍)にも膨張する材料なので、それを扱う職人の技量にばらつきがあるのは避けられません。吹付断熱の専門工事会社だからといって、現場監督が専門会社に任せっきりにしていたら問題だと思います。
たとえば、各所の吹付厚さの確認や金物部分などへの吹付忘れのチェック、それ以前に、通気層の設置状況など、現場監督が確認すべきポイントはいくつもあります。
ところで、ひとくちに吹付ウレタンフォームと言っても、木造住宅の断熱によく使われている吹付ウレタンは、表面がクリーム色などの「硬質ウレタンフォームA種3」と呼ばれる種類です。
この他、建築の現場では、ピンク色などのA種1、A種1H(ピンク色など)と呼ばれる種類が使われていて、より高価ですが、木造住宅でも使われます。
建築物の断熱に使われる硬質ウレタンフォームは、このようにいくつかの種類があり、発泡倍率も異なり、密度や気泡構造も異なります。
硬質ウレタンフォームA種3:発泡倍率60~100倍、低密度、連続気泡構造、吸音性に優れる
硬質ウレタンフォームA種1H:発泡倍率30~40倍、高密度、独立気泡構造、断熱性に優れる
このうち、良く使われる「A種3」は、同じ硬質ウレタンでも、いちばん水分を通しやすい(透湿率が大きい)ことに注意する必要があります。
「吹付ウレタンは透湿率が小さいので、防湿効果がある」、というのはこの「A種3」には当てはまりません。
壁面に吹付ウレタンを施工する場合、はみ出した部分をそぎ落とす「スキンカット」を行うと、その部分の防湿性能はさらに低下するという問題もあります。
「A種3」の場合は特に、断熱層の外側に通気層、(できることなら)室内側に防湿層を設けるべき、という基本原則は実はグラスウールの場合と同様なのですね。
また、グラスウールに比べて、吹付ウレタンは気密性能が高いとは言えますが、住宅全体で一定レベルの気密性能(隙間相当面積、C値)を確保しようとするならば、下地の気密処理にも注意する必要があります。
さらに、吹付ウレタンは、自己接着性が高いこと、つまり住宅の木材などに良く接着して隙間を作らないという特徴がありますが、これは将来、その住宅を解体するときに、木材だけを転用することが難しく、産業廃棄物として処理することとなる点も覚えておきましょう。
「材料品質」だけでなく「施工品質」も合わせて考える
このように、吹付ウレタンは、グラスウールより隙間なく断熱施工され、気密性が期待できそうに思えるので、一般にはグラスウールより高価になりますが、こちらを選ぶ方もいらっしゃるでしょう。
しかし、繰り返しになりますが、両者の「材料品質」と同時に「施工品質」に目を向けるようにしましょう。
灼熱手前の屋根裏、その他気になったこと
ところで、吹付断熱材の場合は外壁に通じる金物は断熱材を吹付けてしまいますし、天井断熱材が敷設されているところは、その断熱材に金物が埋もれてしまっていることが多いです。
しかし、外壁に通じていない金物や、敷設された断熱材から少し離れた位置にある金物などを確認できることがあります。
たとえば、時々見かけるのがネジ山の出が少ない(3山未満)のもの。
-
木造住宅を陰で支える「金物」たち、点検しなくて大丈夫?(在来工法と金物工法)
今回は、木造住宅を陰で支えている金物についてのお話です 目次1 1.木造住宅を裏で支える「金物」たち2 2.金物をめぐる、うわさの「事件」から・・・金物の「緩み」について3 3. もうひとつの「金物に ...
続きを見る
屋根裏への入り口 ~ 垂直進入と水平進入:どちらもポイントは点検口の「断熱性」
「お問い合わせ」の記入欄から
私たちN研(中尾建築研究室)の「お問い合わせ」の中に「物件概要」をおたずねする項目があります(回答は任意の項目です)。
そのうち「天井点検口の有無」という質問に対して、新築・中古問わず「不明」というお答えが意外と多いです。
天井点検口は、平面図(間取り図)に破線で表示されていることが多いのですが、クローゼットや押し入れの天井に設けてあったり、廊下の天井に設けてある例もあります。
一般的な「垂直進入」の天井点検口
いわば「小屋裏への垂直進入」の形式。最上階にロフトなどがなく、平天井の場合はこの形式で、もっともポピュラーな点検口ですね
物入れは、収納物が入ってしまうと、天井に近づけないという欠点がありますが、物入れの中棚に上がって天井裏に入れるという容易さがあります。
廊下天井の点検口は、収納物やプライバシーに関係なく天井に近づける利点がありますが、点検口を開けるためには、かなり高めの脚立が必要になるので、その点では不便と言えるかも知れません。
また、点検口を開けてみたら、鋼製の火打ち材(水平方向の材)が頭上にあったという例もありました。これは図面段階でのチェック不十分だったということですね。
ここでのポイントは、天井断熱の場合の断熱層が途切れないこと。
断熱・気密仕様の天井点検口という専用点検口もありますが、それらはブローイング断熱や寒冷地を想定したもののようで、一般にグラスウールを天井に敷設している場合は、点検口の上にそのままグラスウールが敷かれていて、それをどけて屋根裏に入ります。
なお、断熱材の下側に先述のような別貼りの防湿シートが設けられている場合は、点検口の枠とシートを気密テープで貼り合わせるのがセオリーです。
ロフトのある場合など ~「水平進入」の点検口
一方、ロフトや屋根裏収納があるお宅の場合は、その屋根裏のスペースの壁面に点検口が設けられているケースも多いです。
いわば「小屋裏への水平進入」の形式、ですね。
ロフトや屋根裏収納は、延べ床面積の制限に抵触せず収納スペースを確保でき、小屋裏(屋根裏)スペースを有効活用できることから、よく見かけます。
このロフトや屋根裏収納は、いわば小屋裏(屋根裏)の中に設けられるので、天井部のほか四周の壁もすべて断熱されていることが一般的です。
そのため、ここに設ける水平の点検口は、言わば「断熱ドア」のような、断熱性能のある扉となっていることが多いです。
水平の天井点検口の場合は、その上に断熱のマットを被せて、断熱が連続しているという理屈で済ますこともできますが、壁面に設ける場合はそうも行かないので、断熱扉を採用しているわけですね。
断熱材が貼られたような点検口を使っている例もありました。
天井点検口のない最上階
そして、以前のコラムでも書きましたが、天井点検口が設けられていないケースです。
たとえ小屋裏(屋根裏)を動き回れなくても、点検口は設けておくべきでしょう。
天井裏を覗くことができないと、万一の雨漏りや天井内の湿気、あるいは断熱材の敷設の乱れなど、確認する手立てがありません。
空気の流れを確保する ~ 天井断熱には小屋裏換気、屋根断熱には屋根通気
空気の通り道 ~ ぐるりと換気・通気すること
以前「小屋裏や外壁内の空気の流れ」についてお話ししました。
この時は「片流れ屋根」の場合の小屋裏(屋根裏)換気についてのお話しで、次のような略図でご説明しました。
住宅というのは、このように外皮(屋根、サイディング外壁)の内側や床下など室内のまわりをぐるりと換気・通気しているものなのです。この空気の通り道が確実に機能することによって、湿気を排出することにより、結露を防いで、木部が腐食するのを防いでいます。(N研コラムより)
新築の場合は、屋根裏の木部も金物も、当然真新しいので、小屋裏換気のことなどはあまり実感がわかないかもしれません。
一方、経年した既存(中古)住宅の屋根裏では、木部にカビがあったり、時には金物が錆びていたりして、湿気のせいでこうなったのかなと感じるかも知れません。たとえば・・・
こうしたことを防ぐため、屋根裏の換気が大切で、屋根裏換気の換気口の必要面積の目安(下の図)が決められていて、最近の新築住宅ではこれを計算上クリアしているはずです。
たとえば、以前のコラムの中の「小屋裏換気の重要性」。次の図とも。
多くの場合、屋根の軒裏に給気口が設けられていて、そこから外部の空気が屋根裏に入り、排気口から出て行くというかたちで、屋根裏が換気されています。
換気のための空気の通り道 ~ 天井断熱の場合
たとえば、平天井で天井断熱の場合で、次の模式図のような場合であれば、天井の断熱材で空気の通り道が塞がれることは少ないかも知れません。
しかし、いわゆる「母屋下がり」の場合や、ロフト(屋根裏収納)がある場合などの勾配天井部分の裏側は、次の図のように、断熱材と野地板(屋根材の下地)の隙間が空気の通り道となります。
母屋下がり(もやさがり)とは、高さ制限などによって、屋根の軒高が一部低くなっているところです。屋根が低くなっているので、その部分は、室内から見ると勾配天井(斜め天井)となっています。
グラスウールのような断熱材をそのまま勾配天井の裏側に敷設すると、この空気の通り道を塞いでしまう恐れがあるので、「通気スペーサー(野地裏通気部材)」で空気の通り道を確保します。
次の写真は、ある内覧会でロフトの壁面の点検口から屋根裏内部に入ったところです。
上の模式図の「小屋裏」の先端方向ところで、この先が「母屋下がり」になっていて、断熱材が勾配屋根に沿って敷設されています。この断熱材が通気のルートを塞いでしまわないように、段ボール製の「通気スペーサー」が設けられているのがわかります。
通気のための空気の通り道 ~ 屋根断熱の場合
屋根断熱の場合の「通気」、つまり空気の通り道は、次の模式図のようになります。
この図だけ見ると単純そうですが、実際はこの断熱を行うのに、フェノールフォームのような成型板を取り付ける場合、グラスウールのマットを斜めに敷く場合、あるいは、吹付断熱で行う場合などがあります。
屋根断熱を吹付ウレタンフォームで行う場合、まず注意しなければいけないのは、既にお話ししたように「吹付硬質ウレタンフォームA種3」の場合は、透湿率が大きい、つまり水分を通しやすいので、野地板などの面に直接吹付けるのではなく、必ず通気層を設けること、でした。
この通気層を確保するためには、吹付作業を行う前に「通気スペーサー」を屋根面の内側に設置しておきます。
吹付後は通気層の状態を目視確認できないので、この事前準備の確認は入念に行う必要があります。
スペーサーの固定状況や、必要な空気層の厚みのほか、通気の入口と出口が確保されているかも確認しておく必要があります。
天井断熱の場合でも、先ほどのような母屋下がりやロフトの勾配天井の内側のところは、納まり的には屋根断熱となるので、やはり断熱材を敷設する前に通気が確保されているか、確認しておく必要があります。
既存(中古)住宅の屋根裏 ~ 新築と比べてみると
中古の屋根裏、まず断熱材の状態をチェック
さて、先ほども少し触れましたが、既存(中古)住宅の屋根裏は、新築住宅の場合と比べて、かなり事情が異なります。
たとえば「リフォーム済み」で売り出された、ある戸建て住宅の例では、内外装、目に見えるところはきれいに手を加えられているのに、屋根裏に入ってみると、断熱材がひどく乱れていて、場所によっては欠損状態になっていたものがありました。
-
リフォーム済み ~ その裏側も診てますか?(戸建て中古、買取再販住宅の「光と影」)
リフォーム済みで販売される中古戸建て住宅、その「光と影」について、実例をもとに考えてみましょう ・・・いろいろと手数のかかる客でしたので恐縮ですが、また、いつの日かお目にかかれればと思っております ...
続きを見る
この例に限らず、中古の戸建て住宅では、屋根裏に入って、断熱材の状態と雨漏り跡の有無は確認しておくべきでしょう。
中古の屋根裏、築年数と断熱材
なお、中古住宅のうち築年数の古いものは、断熱材の敷設状態が最近のものとはかなり異なっています。
たとえば、かなり古いものは、断熱材そのものがありません。
次に古いものでは、和室や洋室など居室の上にだけ断熱材が敷かれていて、押入れや物入れ、あるいは廊下の上には敷かれていないという例をよく見かけました。
住まいの断熱の基本は、室内空間を断熱材で隙間なく包むことで、今日ではほぼ常識ですが、昔はそうではなかったようです。
断熱材が敷かれていない箇所から、夏場は暑さが侵入し、冬場は熱がどんどん逃げて行った、熱ロスの大きい住まいだった訳です。
そして、敷かれている断熱材も、最近のものに比べると、かなり薄いものでした。
たとえば、年代別の断熱材敷設状況をご覧ください。
次に、小屋裏の湿気に留意する
もうひとつは、これも新築にも関連しますが、小屋裏の換気。
木部表面のカビの状態、場合によっては、木部の含水率を測定します。
あるいは、金物の錆の有無。
これに関しては、たとえば、もうひとつの天井内問題:小屋裏の湿気、換気問題をご覧ください。
そのほか、野地板など木部の雨染みの有無も観察します。
灼熱寸前の屋根裏から帰還して
このところ、もうすっかり涼しくなってしまいました。
今では、あの「灼熱寸前の屋根裏」で汗だくになったことは、まるで昔話か何かのようです。
しかし、屋根裏から戻って思い返してみると、いつもながらのことですが、断熱と換気、そして中古などでは雨漏り、大きくこの3点が屋根裏のポイントであるとつくづく思います。
屋根裏、それは一般の依頼者様にとっては「見えないところ」そのものです。
その「『見えないところ』を診る」つまり、意識していただく、そのお手伝いが、私たちの仕事です。
このたびはありがとうございました。これで安心して住むことができます。(原文手書き、太字化強調:N研)
N 研インスペクション ~ N 研(中尾建築研究室)の住宅診断 お問い合わせ・お申し込み
私たちN 研(中尾建築研究室)の住宅診断各サービスへのお問い合わせ・お申し込みは、この下の「お問い合わせ・お申し込み」フォームよりお願いいたします。
電話( 03-5717-0451 )またはFAX( 同 )でご連絡いただいても結構です。
※ 電話の場合は、業務の都合上対応できない時間もございます。ご了解ください。
※ FAX の場合は、お手数ですが、上記のフォームにある質問項目についてお知らせください。
※ FAX でお申し込みをされる場合は、この書式をダウンロードしてお使いください。
(FAX 用)お申し込み書ダウンロード
N 研(中尾建築研究室)の住宅診断 ~ 代表が直接担当いたします
住宅診断にはN 研(中尾建築研究室)代表の中尾がお伺いします。業務の内容によっては、補助メンバーや、ご要望により英語通訳が同行する場合もありますが、 原則代表がメインでご対応いたします。
※検査・調査時に英語通訳者の同行をご希望の場合は、こちら
If you wish to have an English interpreter to be accompanied upon house inspections or surveys, please click here.