目次
1.誰も住んでみたことがない「住まい」 ~ 新築診断を行う意味は?
住宅購入の大きな選択肢としてまず、新築住宅か中古住宅(既存住宅)か、という問題がありますね。ひと昔前に比べて、最近では中古へ関心も高くなってきましたが、まだまだ新築指向は根強くあります。
その新築住宅ですが、中古住宅とちがって経年による劣化を心配する必要がない一方、誰も住んだことがないので、もし不具合の芽があったとしても気付かない、というリスクはあります。新築診断は、そうしたリスクを軽減させようとするものです。
私たちN研(中尾建築研究室)のホームインスペクションの4つのメニューのひとつに、新築診断(内覧会同行サービス)があります。新築住宅の竣工(完成)直前の購入者検査に同行するサービスです。建売住宅や新築分譲マンションなどで、工事中に立ち会えない住宅を購入するような場合、この機会がたいせつなポイントになります。
2.「内覧会」とは、ただの見学会ではなく、ましてセレモニーでもありません
戸建て・マンションに共通して新築住宅に使われる「内覧会」ということばですが、何となく「完成した住宅」の「お披露目会」みたいな響きがありませんか?
でも、新築住宅の購入者・建て主にとっての「内覧会」は、あくまで「竣工(完成)検査」です。つまり、ほんとうに「完成した住宅」として引き取って良いかどうかを、契約当事者として検査しますよ、という場です。
ちなみに、一般のビルなどの建築物の場合、竣工検査と言えば、まず施工者の社内検査(自主検査)そして工事監理者の検査、それぞれの結果とその是正状況の報告があり、それから建て主の検査が始まるのですが、住宅の場合は一部の注文住宅を除き、まずそうした報告はありません。そもそも工事監理者と言っても、戸建てではほとんどの場合名目上ですから。マンションの場合は、施工会社とデベロッパーの間ではそうした報告は行われますが、個々の購入者に開示されることはまずないでしょう。
つまり「内覧会=竣工検査」とは、たとえ相手が住宅のプロで、こちらが素人であったとしても、契約の当事者同士として、契約内容を確認する場です。もちろん、あまり気負う必要はありませんが、同時に、決して気後れしたり、まして遠慮したりする必要はありません。
そうは言っても、ほとんどの方は初めての経験でしょうし、住宅の内外は真新しくぴかぴかで、期待と戸惑いの中で時間が過ぎてしまう、というのが正直なところではないでしょうか。聞き慣れない専門用語を交えた説明を早口でされてしまい、聞き返すタイミングを逸して終わってしまうかもしれません。
プロによる内覧会同行者不要論もネットには溢れていますが、それはそれぞれの方のお考え方次第。同行してもらったのに大した指摘もなく終わった、という方が不要論を言われるのも分からない訳ではありません。
あるいは運良く、売り手側の立会い担当者(立会い者がいない場合もあります)が、充分な知識・経験があり、わかりやすく正しい説明ができて、話しかけやすい雰囲気で、こちらの指摘した箇所を客観的に捉えて正確に記録して、責任感を持って確実に対応してくれるような人であれば、ですね。
また、引き渡し後も保証期間内であれば、(壁のキズなど引渡し前か後か不明なものを除き)売り手側が対応してくれるので内覧会にそれほどこだわらなくて大丈夫、という説もありますね。
しかし、入居後に見つかった不具合の是正工事は、工事会社との日程調整や工事期間中の立会い、家具類の移動など、意外と負荷がかかってしまいます。アフターフォローを本当にたいせつにしている売り手ばかりとは限らないでしょうし。
それでは、自分たちだけで対応したいという方にアドバイスです。
内覧会には、できるだけ大人数で行きましょう。その中に、多少でも建築のわかる人がいればなおよろしいです。人数がいれば、それだけ気後れせずに済みます。先方の立会い者が「はずれ」の場合でも、皆さんで納得できるまで説明を求めましょう。
ネットに良く載っている簡易な検査道具類(たとえば、コンベックスや水準器など)を用意して、各自チェックリストを持参して、分担してチェックしてください。指摘シートにはなるべく詳しく、後から確認できるように、図面の該当箇所に番号を付して、書き込むようにしてください。もちろん、その控えのコピーは貰ってください。そして、是正工事完了後の再検査の日程を確認するのも忘れずに。
3.内覧会の開催時期、是正期間、引っ越しの時期
内覧会(竣工検査)の開催時期についてよく言われるのが、「2月から3月にかけての内覧会が多い」というもの。これは、ひとつには、売り手の決算時期の関係で、3月引渡しに向けての内覧会が多いという話で、その他中間決算の時期などにもおなじようなことが言われます。一方、買い手の側からすれば、お子様の転校時期や、ご主人の転勤時期などから、引渡し・転居も新年度にあわせてこの頃が良い、という方も多いのではないでしょうか。
売り買い双方の思惑は良いとしても、竣工時期がある時期に集中してしまうと、仕上げ段階の工事も集中することになります。もちろん、各社そうした事情は織り込み済みで工程を組むわけですが、「諸般の事情で」無理をするケースも少なくないわけですね。
無理をして工事を急ぎ完成にこぎ着けた住宅は、適正工程で進めた住宅に比べれば、施工不良を生む可能性は大きいでしょう。そのように集中する時期に引渡しとなる住宅を購入した場合は特に、内覧会でしっかり検査して、是正する箇所は確実に直してもらいましょう。
そのため、できれば内覧会と引っ越しの間は、日数を充分取るようにするのが望ましいと言えます
4.新築戸建て、新築マンションの内覧会でのチェック内容
新築戸建てと新築マンションの竣工検査(内覧会)での具体的なチェック項目例については、N研(中尾建築研究室)ホームページ本編の「新築内覧会(竣工検査同行)当日の流れ」をご覧ください。
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参考新築内覧会(竣工検査同行)当日の流れ
ここでは新築住宅の診断サービスについて、診断当日のイメージをお知らせします。(サービスの内容・流れ・費用などは、こちら) 目次1 新築内覧会(竣工検査同行)当日の流れ・チェック項目など2 新築戸建て住 ...
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さらにもう少し細かな項目については、こちらにあります。ご参考まで
これらのチェック項目をご覧になってもお分かりのように、戸建てとマンションの新築診断(内覧会同行)で異なるのは、建物の駆体構造や断熱構造を、部分的ではあっても確認できるかどうかです。
もちろん、駆体(骨組み)や断熱は私たちの言うところの「見えないところ」なので、工事の各段階で確認するしかありません。本当は少なくとも、後からでは見えなくなってしまう、配筋(基礎)、駆体(接合部・金物)、下地(断熱・通気)の段階でのチェックが望ましいところではあります。
マンションでは、戸建てに比べれば、駆体の品質管理はそれなりに行われています。もっとも、かつての耐震偽装事件や杭基礎未達事件、基礎梁スリーブ主筋切断問題など、世間を震撼させた問題もありましたが、こうした事件を契機にマンションの建設では工事監理の責任が重視されるようになりました。
一方、戸建て住宅の場合は、新耐震基準や2000年基準で構造面が強化されてはきましたが、工事監理に関しては名目的なところが少なくありません。(なお、在来木造戸建て住宅の構造については「4号特例」問題というのもありますが、これについてはいずれまた別のところで扱います)
戸建ての場合は小屋裏や床下を覗いたりすることで、駆体や断熱材の状況を一部ではありますが確認できます。また、外装(サイディングやサッシュ、シーリング、バルコニー防水)の状態も確認できます。
マンションの場合は、駆体構造自体は工事の品質管理や工事監理に期待するしかありませんが、内覧会では契約図書との照合確認と、その施工精度、水回りや可動部の動作確認などを行います。外部については、専用使用の共用部として、バルコニーや玄関ポーチなどの外回りを確認します。
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